解析対象11,729例のうち、hazard periodまたはcontrol periodのいずれかで抗ヒスタミン薬が処方されていたdiscordant症例は3,178例(27.1%)であった。
背景(Tab.1):年齢分布は、6〜24か月が985例(31.0%)、25か月〜6歳が1,445例(45.5%)、7歳以上が748例(23.5%)であり、男児が1,776例(55.9%)とやや多かった。社会経済的には中間層が57.5%を占め、周産期関連疾患を有する症例は29.9%であった。
抗ヒスタミン薬処方とけいれん発症の関連についての検討では、index date前1〜15日のhazard periodにおける処方は1,476例(46.4%)であり、control period 1(31〜45日前)の1,239例(39.0%)、control period 2(61〜75日前)の1,278例(40.2%)と比較してより多く認められた。
この結果、第一世代抗ヒスタミン薬の処方は、けいれん発症リスクの有意な上昇と関連しており、adjusted odds ratio(AOR)は1.22(95% CI 1.13–1.31)であった。
さらに、直前期間に新規に抗ヒスタミン薬が処方された症例においても同様にリスク上昇が認められ、AORは1.25(95% CI 1.14–1.35)であった。
感度解析として曝露期間を短縮した解析では、1〜10日ではAOR 1.25(95% CI 1.15–1.36)、1〜5日ではAOR 1.36(95% CI 1.23–1.51)と、曝露期間が短いほど関連が強くなる傾向が認められた。
また、急性上気道炎などの併存疾患を時間依存性共変量として調整した解析においても、1〜15日でAOR 1.10(95% CI 1.01–1.20)、1〜10日でAOR 1.13(95% CI 1.03–1.25)、1〜5日でAOR 1.21(95% CI 1.08–1.36)と、有意なリスク上昇は維持されていた。
さらに、配合剤を除外し、単剤の第一世代抗ヒスタミン薬に限定した解析においても、15日・10日・5日のいずれの解析でも同様の結果が得られており、本結果の一貫性が確認された。
サブグループ解析では、年齢による交互作用が認められ(P = 0.04)、6〜24か月において最も強い関連が認められた(AOR 1.49[95% CI 1.31–1.70])。一方、25か月〜6歳ではAOR 1.11(95% CI 1.00–1.24)、7歳以上ではAOR 1.10(95% CI 0.94–1.28)と、年齢が上がるにつれて関連は減弱していた。
―考察―
本研究は、第一世代抗ヒスタミン薬の使用が小児におけるけいれん発症と関連することを、大規模データを用いて示した。特に乳幼児においてリスクが高いという結果は、発達段階を踏まえた薬剤選択の重要性を示唆する。
その機序としては、複数の機序が関与している可能性がある。
まず、乳幼児では血液脳関門が未熟であり、薬剤の中枢移行性が高い。さらに、薬物代謝・排泄機能の未熟性により、薬剤の作用が増強・遷延する可能性がある。また、神経発達過程におけるミエリン化の未完成や神経回路の未熟性も、けいれん感受性の高さに関与すると考えられる。
加えて、ヒスタミンは中枢神経系において抗けいれん的な役割を持つとされており、H1受容体遮断によりこの作用が抑制されることで神経興奮性が増加する可能性も指摘されている。
一方で、本研究は保険データベースを用いた解析であり、実際の服薬状況の確認ができない点や、けいれんの詳細な臨床情報が得られない点などの限界も存在する。また、OTC薬の使用は把握できておらず、曝露評価に影響を与えている可能性も否定できない。
第一世代抗ヒスタミン薬の処方は、小児におけるけいれん発症リスクの増加と関連しており、特に6〜24か月の乳幼児でその影響が顕著であった。日常診療で頻用される薬剤であるが、その中枢神経系への影響を踏まえ、特に乳幼児においては適応を慎重に判断する必要があると考えられる。
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